資本コストの計算方法:WACCの理論的アプローチ

加重平均資本コスト(WACC)の計算式は以下です。

$$ WACC=\frac {E} {E+D}×COE+\frac {D} {E+D}×COD \\  \\ \frac {E} {E+D} : 時価総額のウェート \\  \\ \frac {D} {E+D} : 有利子負債額のウェート \\  \\ COE=株主資本コスト \\  \\ COD=税引き後有利子負債コスト $$

株主資本コスト=国債利回り+リスクプレミアム☓β β=TOPIXと対象企業株価の5年間の日次リターンの一次回帰式の傾き E=計算時点での時価総額 D=計算時点での直近決算の短期有利子負債+固定負債+少数株主持ち分 リスクプレミアムは全上場企で時価総額上位5%は5%、下位25%は9%として傾斜配分

1. ベータ係数の算出(β¹)

ベータ係数とは、個別対象株価の過去5年間の日次リターンを基準市場指数(例:TOPIX)の日次リターンで回帰分析した際の係数です。この値は、対象企業の株価が市場全体の変動にどの程度影響を受けるかを示し、市場リスクの尺度として機能します。

2. VI²(Volatility Index)の定義

VIは、被説明変数(個別株価のリターン)と説明変数(市場リターン)の標準偏差の比率で算出されます。ベータ係数はVIと両変数間の相関係数の積で表され、VIはベータ係数を相関係数で除したものとして計算されます。

3. 回帰分析に基づく観察数字³の活用

過去5年間のデータを用いた回帰分析から得られる観察数字は、対象企業のリスク評価に重要な基礎データを提供します。この分析により、企業が過去にどの程度のリスクを抱えていたかを数値化することが可能です。

4. 加重平均⁴と決定係数の関係

加重平均は回帰式の説明力を示す決定係数によって加重される値です。決定係数が1の場合は、回帰式が変動を完全に説明していることを意味し、0の場合は全く無関係であることを示します。

5. 調整数字⁵の計算

全上場企業のVIの標準偏差に60%を乗じた正規分布によって調整された数字です。これは企業のリスク評価を中心値に回帰させることを目的としています。

6. アンレバードβ⁶の意義

アンレバードβは、企業の負債のレバレッジ効果を取り除いた後のベータ係数です。これにより、企業の純粋な事業リスクだけを考慮することができます。

7. 負債効果係数⁷の計算